29年前、この一冊から「馬を見る」競馬が始まった
この記事で分かること
- 馬体、パドック、返し馬、レースを別々に見ない理由が分かります。
- 初心者が最初に一頭を観察するときの順番を覚えられます。
- 古い本から学べる考え方と、現在の資料で更新すべき情報を分けられます。
「29年前」という年数表記は、2026年8月13日時点のものです。
競馬を始めた頃、パドックへ行っても「どこを見ればよいのか」が分かりませんでした。落ち着いている、毛づやが良い、体が大きい。目に入る特徴はあっても、それをどう受け止め、レースでの走りへどうつなげるのか。その入口を教えてくれたのが、伊藤友康さんの『競馬・馬の見方がわかる本』です。
「見た事実」と「考えたこと」を分けて残す
初心者が最初から馬の良し悪しを言い当てる必要はありません。まず一頭を決め、同じ馬の立ち姿、歩き、返し馬、実戦を順に見ます。見た事実と自分の推測を別の欄へ書くと、思い込みをレース後に見直せます。
一頭を知る5つの場面
| 場面 | 見た事実の例 | まだ決めないこと | 後で確かめること |
|---|---|---|---|
| パドック | 歩く速さ、首の位置、周回中の変化 | 落ち着きだけで好調・不調を断定しない | その馬の過去映像と比べて同じか |
| 返し馬 | 走り出し、行きたがる様子、騎手とのリズム | 勢いが強いだけで能力上位と決めない | 実戦で折り合い、位置取りにどう出たか |
| レース後 | 通過順位、進路、最後まで走りを保ったか | 着順だけで観察が正解・不正解と決めない | 条件や展開も含めて次走前に読み返す |
この表は書籍の目次や本文を写したものではなく、馬トリセツが初心者向けに作った独自の模式表です。一つの見た目から健康状態や好走を断定しません。
観察を始める前の用語集
- 馬体
- 馬の体全体と各部のつながりを指す言葉です。大きさ一つで能力を決めるものではありません。
- パドック
- レース前の馬が周回する場所です。当日の歩きや様子を継続して観察できます。
- 返し馬
- パドックを出た馬が、騎手を乗せて走りながら発走地点へ向かう場面です。
- 折り合い
- 馬と騎手のリズムが合い、必要以上に力まず走れている状態を表す言葉です。
- 調教
- 競走へ向けて行う日々の運動や訓練です。レースとは目的や走り方が異なります。
- 気配
- 当日の様子をまとめて表す一般語です。便利な一方、何を見たのか具体的な言葉へ置き換える必要があります。
「元気そう」から一歩だけ具体的にする
架空馬「ノートホース」を見て、最初に「元気そう」と感じたとします。そこで終わらず、「周回の前半より後半の方が歩く速度が少し上がった」「返し馬では走り出しに力んだように見えた」と、見た場面と変化を分けて書きます。レース後には「前半で行きたがり、中盤で位置を下げた」と実戦の事実を追記します。
この一回だけで「力む馬」「距離が長い馬」と固定はしません。次に似た条件へ出たとき、同じ様子と走りが繰り返されたかを確認します。架空例は診断や馬券推奨ではなく、観察記録を育てる練習です。
初心者が続けやすい5手順
- 一日に観察する馬を、まず一頭だけ決めます。
- 「良い・悪い」ではなく、見えた動きや変化を短く書きます。
- 推測は別欄へ書き、見た事実と混ぜないようにします。
- レースの通過順位や走りを見て、観察とのつながりを確認します。
- 次走前に読み返し、同じ特徴が繰り返されたかを比べます。
馬を見る本のよくある質問
1995年刊の本でも役立ちますか?
観察する順番や、一つの特徴で即断しない姿勢は学べます。一方、制度、コース、調教環境、時計水準などは現在の公式資料で更新して読みます。
競馬初心者でも読めますか?
馬券の買い目だけでなく、馬そのものを見たい人に向きます。分からない用語は馬トリセツのパドック・調教記事と行き来しながら読むと整理しやすくなります。
本を読めばパドックだけで勝ち馬が分かりますか?
分かるとは限りません。パドックは一つの観察場面で、能力、距離、馬場、展開、相手関係も結果へ影響します。
最初は馬体のどこを見ればよいですか?
細部を一度に覚えるより、同じ馬の全体の姿、歩くリズム、周回中の変化を一つずつ記録します。他馬との見た目だけでなく、その馬自身の過去と比べます。
本の図やページを保存して使ってよいですか?
書籍の文章、写真、図には著作権があります。私的利用の範囲を超える複製や公開は避け、必要なら正規に本を入手して利用条件を確認してください。
馬券術ではなく、「馬を見る」ための本
本書を、すぐに使える馬券術や最新データの本だと思って手に取ると、期待とは違うかもしれません。中心にあるのは、人気順や買い目ではなく、サラブレッドをどう観察するかという問いです。
だからこそ、刊行から長い時間が経った今も、私にとって大切な一冊です。数字を集める前に、まず馬を見る。気になる特徴を見つけても即断せず、歩き、走り、条件とのつながりを考える。馬トリセツが大事にしている姿勢は、ここから始まりました。
馬を見る場面を、ばらばらにしない
書誌に掲載された章構成は、サラブレッドの形、パドック、返し馬、レース、調教という流れです。ここでは目次を転載せず、本書が扱う観察場面だけを要約します。
- 馬体を見る:立っている姿から、全体の形や各部のつながりを観察する。
- パドックを見る:周回中の歩きや当日の気配を観察する。
- 返し馬を見る:走り出した後の動きと、騎手との折り合いを見る。
- レースを見る:道中からゴールまで、実戦での走りを振り返る。
- 調教を見る:レースとは別の場面で、動きと準備の過程を考える。
一つの場面だけで「良い馬」「悪い馬」と決めるのではなく、静止した姿から歩き、走りへ視点を移していく。この確認順が、馬を一頭ずつ理解する助けになります。
馬トリセツとの関係
馬トリセツの「馬を見る教科書」では、パドック・返し馬、馬体重、調教、脚質、休み明け、道悪適性などを扱っています。これらを別々の暗記項目にせず、「この馬は今回どんな状態と条件で走るのか」へ結び直す考え方の根に、本書との出会いがあります。
もちろん、本書の文章や判定をそのまま移したものではありません。刊行後に変わった競馬環境や現在入手できる公式情報を確認し、馬トリセツ独自の編集方針で記事を作っています。
古い本だから、今の情報と分けて読む
本書は1995年5月刊です。コース、調教環境、時計水準、制度など、時代とともに変わる情報を現在の競馬へそのまま当てはめる本ではありません。現在の事実は、JRAなどの最新資料で確認する必要があります。
一方で、馬体、歩き、走りを順に観察し、自分の目で確かめようとする姿勢は、今も学ぶ価値があります。古い情報を新しい事実より優先するのではなく、変わりにくい観察の基本と、更新が必要な情報を分けて読むことが大切です。
こんな人に向いている一冊
- パドックを見ても、何を覚えて帰ればよいのか分からない人
- データだけでなく、馬そのものから競馬を学びたい人
- 返し馬やレース映像を、次の観察へつなげたい人
- 即効的な馬券術より、自分なりの「見る基準」を育てたい人
反対に、最新のコース傾向や、そのまま使える買い目だけを求める場合には向きません。遠回りに見えても、競馬を長く楽しむために馬を知りたい人へ紹介したい本です。
書誌情報と購入リンク
正式な書名は『競馬・馬の見方がわかる本――誰も教えてくれなかった馬を見るポイント』。伊藤友康著、池田書店、1995年5月刊、ISBN 978-4-262-14470-2です。古い本のため、販売状況や出品状態はリンク先でご確認ください。
本書の著者・出版社が、馬トリセツの記事、評価または予想を推奨・監修しているものではありません。
まとめ
この本から学んだのは、目立つ一つの特徴で答えを出すことではありません。馬体を見て、歩きを見て、走りを見て、その馬を少しずつ知っていくことでした。29年前に始まった「まず馬を見る」という習慣を、馬トリセツでも大切にしていきます。
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ご利用にあたって
本記事は書籍を読んだ個人的な経験と、公開書誌を基に編集した独自コンテンツです。書籍の内容を転載するものではなく、的中や利益を保証するものでもありません。馬券の購入はご自身の判断と責任で、無理のない範囲でお楽しみください。20歳未満の方は勝馬投票券を購入・譲り受けることができません。